余裕を持って合格できる高校にに進学した方が長い目で見てプラスであるという意見は正しいのでしょうか?(愛知県の話です。)
※愛知県は複合選抜というユニークな受験方式のため、他県の方は参考にならないかもしれません。
さて、話を戻します。
文頭の意見は、一つ下のレベルの高校に行って指定校推薦で大学に進学した方がレベルの高い大学に進学できるという話が前提となっていると考えています。
商業高校や工業高校から就職する場合も成績の良い人が優先的に就職先を斡旋してもらえるという事実もこれを後押しします。
それ以外の理由で思いつくのは、志望が高すぎる生徒に目標を一つ下げさせるための方便として言っている場合です。
たまに公立高校の受験を2つとも失敗する生徒がいますよね。
そうならないようにするための親心です。
つまり、
①その後の進路が有利になる
②大コケしないようにするための親心
となるのかなと思います。
②は議論の余地がないので置いておきます。
挫折は早いうちに味わった方がいいとは思いますが、取り返しがつかない事態は避けねばなりません。
高校受験で第1志望を不合格だった生徒を見ていきます。
生徒のその後の話を聞いていると、第1志望を不合格で第2志望の高校に進学した生徒はトップクラスを維持して頑張っていることが多いです。
本人たちは口にこそ出しませんが、もう一つ上の高校で戦うつもりだったというプライドが垣間見えます。
この子たちは指定校推薦を勝ち取り、第1志望の高校を合格した場合より、上のレベルの大学に進学できる可能性が高いです。
挫折して得た精神力と努力の結果なので、それほどおかしな話でもありません。
※例外はあって、偏差値70前後の高校では指定校推薦より一般入試で大学受験した方がレベルの高い大学に進学できるチャンスが大きいです。
高校受験で戦い抜き、見事第1志望を勝ち取った生徒たちを見ます。
高校にいっても、しっかり努力出来る生徒が多いです。
人としての成長をしっかり感じられると思います。
成績は第1志望を落ちて、第2志望で来ている生徒たちには劣りますが、中には互角に戦う生徒もいます。
高校受験を勝ち抜いたことで満足し、停滞する生徒も少数います。
問題は、本来は合格する実力がなかったのに、時の女神が微笑んでしまった生徒さんです。
多分、私はこのカテゴリーです。
定期テストでは赤点回避に苦しみ、受験でも苦労し続けることが多いです。
学校の用意するカリキュラムも本人のレベルには合わないのかもしれません。
さらに、学校の言うことを聞いてしまう素直さがあると、自分に合わない勉強に時間を費やし、かえって不利になることがあります。
私の場合、担任の私個人に対するアドバイスには従いました。
当時の菊里高校は放任主義だったので、自分の好きに勉強できました。
管理が徹底している高校なら、私はつぶれていたと思います。
(放任主義がいいと言う訳ではない。自由な校風だと入学時の偏差値に比して進学実績が悪いことが多い。)
そして、受験時に最初から上を目指さず、レベルを一つ下げて受験した生徒。
高校受験勉強の時点で手を抜くことが多く、【中3の頭では同レベルだった生徒】より高校入学時点で学力で劣っています。
高校進学後、上位層は第2志望で合格してきた生徒で埋めつくされ、その下には中学校時代からその学校を第1志望に頑張ってきた生徒たちが埋め尽くします。
高校に入ってから頑張ることもないので、成績はその高校の真ん中か、それより少し下です。
個人的には、高校受験では誰もかれも上のレベルを目指すべきとは思いません。
人と競争することが苦手な生徒もいます。
その場合、エスカレーターで大学に進学できる私立高校に推薦入学した方がよいかもしれません。
第1志望を落ちた彼らは、最初から第1志望を回避すればもっと楽な人生を歩めたのでしょうか?
私はそうは思いません。
挫折したからこそ、その強さを身につけられたと思います。
精一杯努力をして、その上で挫折を知ることができる場としては、高校受験が一番リスクの少ない適当な場所だと思います。
(少数派ですが、中学受験もあります。実際、某中学1年の学年1位は中学受験で上手くいかなかった子だと聞いています。ものすごく勉強を頑張る子だと聞いています。長い目で見たら、この生徒さんが中学受験したことは成功だと思います。)
怖いのは、本来合格できるはずのないレベルの高校に合格してしまった場合だけで、挑戦することには大きな意義があります。
書いていて、高校の同級生達のことを思い出しました。
大学受験が上手くいかなかった同級生の方が、上手くいった同級生より頑張っているなぁと。
挫折が同級生たちを成長させたのを感じて、わが身を振り返り、焦った記憶があります。
挫折を知った人は強くあるなと思います。
【結論】
お勧め:戦い抜いて負けて挫折を知る
(まぁ、意図的にできるものではありませんが。挫折して心が折れてしまいそうな子も除く。)
次点:戦い抜いて合格する
(塾が目指すのはこれですよ。当然)
論外:レベルを落として受験する
(繰り返し言いますが、愛知県は複合選抜だからこの選択肢はないのです。)