一応、生徒からは『先生、教えるのが上手だね。』と言って貰えます。
しかし、お世辞半分で言ってくれていると思って、自惚れないようにしています。
さて、他塾さんのブログで
『教えるのが上手なことが本当に良いことなのか?』
と、疑問を投げかけている記事を見かけました。
『教えることに注力するだけでなく、時には生徒を突き放して自分で考える力を養わせないと実力は身につきにくいよね。』
というところで完結していました。
『説明が分かりやすい』っていうのは、信用できないことがあります。
パターン①
昔、普通の個別指導塾を経営してい頃、信頼していた講師がいました。
非常に頭が良く、その上性格も良い。
生徒からも信頼されていました。
生徒に解説している内容を聞いていても非常に分かりやすく、生徒から人気があるのも頷けます。
しかし、生徒の成績が上がりにくいのが気になっていました。
欠点として何が考えられるでしょうか?
① 生徒に自分で考えさせていない。
最初から最後まで全部説明してしまいます。
指導する際、時としてヒントだけ与え、生徒自身の頭で考えさせることも必要です。
② 解法の他の選択肢を説明していない。
解答の最短ルートを説明し、それ以外のアプローチ方法について触れていない。
なので、全く同じ問題しか解けるようにならない。
③ 生徒がその問題を解けない根本原因を解決していない
方程式を理解していない生徒に連立方程式の解説をしたとします。
説明をしたその瞬間だけ生徒は問題を解けるかもしれません。
しかし、理解はしていないのですぐに解けなくなりますし、文章題を解けるようにはならないですよね。
先に方程式の理屈からしっかり復習しないと。
一言にまとめると、彼は人が良すぎて生徒にハードルを一つも超えさせていないのです。
それでは成績が上がりません。
これらはその講師が悪いわけではなく、私の教育不行き届きが原因で全て私の責任だと思っています。
パターン②
講師の理解が浅く、実質的な説明を出来ない場合に多いです。
① 講師が答えを教えているだけ
『先生、この問題が解けません。カッコに何を入れればいいんですか?』
『これは”in”を入れればいいんだよ。』
『先生、ありがとうございます。』
② 講師が問題を解く手順を説明している
『先生、この方程式《4x+5=25》の解き方を教えて下さい。』
『まず、+5をー5に変えて右辺に移動します。』
『次に、x=とまず書いて、20を4で割ります。』
『先生、5になったよ。おっ、正解だ』
勉強が苦手な生徒ほど、この手の講師のことを好きなことが多い気がします。
上述の②の方程式の説明では、『等式の性質』を説明した上で例題を解かせるのが通常だと思います。
自分で考えることを嫌う生徒は答えが合っていれば安心するらしく、理屈を説明されることより、答えや手順を教えてくれる講師の方が喜ばれます。
でも、生徒は家でこの講師を『分かりやすい講師』と評しているかもしれないわけです。
講師に悪意があるわけではなく、講師本人に説明できるだけの知識がないことが原因です。
それではその講師だと成績が上がらないかと言うと、これも別問題のようです。
講師と生徒の間に信頼関係が出来上がっていると、互いの信頼を裏切らないようにお互いに努力することが多く、結果、成績が上がることも多いです。
言い換えると、頻繁に担当講師が変わるような個別指導塾はあまり良くないかもしれません。
個別指導塾では『フォレスタ』という名前のテキストが好んで使用されます。
このテキストは学力が高い講師の獲得が難しい地域でも、講師に適切な解説をして貰えるように設計されたと聞いており、それだけに解説が分かりやすいです。
正直、下手な講師から生徒に余計な解説を入れられたくないと思う程度には良く出来ています。
なので、大体の個別指導塾でそれなりに成績が上がるのは、この『フォレスタ』というテキストのおかげかなと思います。
ちなみに、私もこのテキストを愛用しています。
私の解説の手間を、かなり省いてくれるので。
それでは、結論。
『講師と生徒の信頼関係(ラポール)が一番重要だよね。』
ってところでしょうか。